人助けの男 第12話「クレーンクレーン」 「起立ー、礼。」 間延びした学級委員の声で今日の学校での一日は終わる。 さぁて、今日は部活も無いし、そのまま家に帰るか。 「あ、ちょっとあたし用があるからさ。一人で帰って。」 友恵が俺に言った。別にいつも二人で帰る約束をしてるわけではないのだが、友恵がやってきてからいつも登下校は一緒だった。もちろん帰る家が一緒だからだが。 「なんだ、用って。珍しいな。」 「あたしだって普通に人間として生活してるんだから、野暮用の一つや二つぐらいあるわよ。それじゃ。」 そういうと友恵はさっさと教室を出て行ってしまった。するとそれを見ていたのか柳沢が不思議そうな顔で近寄ってきた。 「あれ?友恵ちゃん、今日は一人で帰るのか!?ヤス、お前なんかしただろ!?」 「してねーよ。なんか用があるんだとよ。」 まぁ柳沢の言いたい気持ちもわかる。周りから見れば俺と友恵はほぼ毎日一緒に登下校している仲良し兄妹だ。それが今日、突然一緒に帰らなくなったら誰だって不思議がるだろう。 「ま、いーや。待てよ・・・・ってことはヤス!今日は友恵ちゃんのことを気にせずに遊べるんじゃないか!」 「いや、まぁ・・・・そうか?」 「ゲーセン行こうぜゲーセン!お前も久しぶりだろ?・・・・・・ん?なんで久しぶりなんだ?お前と一緒に何度かゲーセン行った記憶はあるのに、お前と友恵ちゃんはほぼ毎日登下校一緒にしてたはずだし・・・・?」 そりゃそうだ。友恵が来る前は一人で帰るか友達と帰るかだったんだから。いくら記憶を操作したとしても矛盾が生じるのは仕方ないんだろう。 「どうでもいいだろ、そんな些細なこと。とりあえず行こうぜ。」 しかし本当にゲームセンターに行くのは久しぶりだ。 よく柳沢とゲームセンターに行っていたが、友恵が来てからというもの全然行けなかった。まぁ、いろいろあったせいで行こうとすら思わなくなっていた訳だが・・・。 ━ゲームセンター・ツクモ━ このゲームセンターは学校から歩いて10分の商店街の中にある。学校から比較的近いためうちの学校の生徒もよく見かけるので気楽に来れる場所だ。 「最近来てなかったからなぁ、柳沢は行ってたのか?」 「まー、時々だぜ。主に金銭的余裕のある日限定だけどな!」 「誰と来てたんだ?大門はゲームやらないし、一緒に行くとしたらあいつらか?」 などと話をしているとクレーンゲームコーナーから驚いたような声が聞こえてきた。 「「「あああああああああ!!?」」」 それは聞き覚えのある声だった。たった今話題に上げようとしていた あいつら だ。 「なんだなんだ?行ってみようぜ!」 クレーンゲームコーナーに行くとそこにはクレーンゲームの中に入っている景品のぬいぐるみを見ながら阿鼻叫喚している あいつら がいた。 「ハッ!?ヤスじゃねーか!来た!これで勝てる!」 「久しぶりだな!しかもナイスタイミングだろ!」 「間違いねぇ!今日のラッキープレイスはこのゲームセンターだったんだ!」 この3人組は俺達と同じクラスで、通称 |